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【移住理由その②】高度デジタル時代だからこそアナログ情報のインプットを大切にする2020/01/17

SUN AND MOON

2020/01/172020:01:17:13:27:14

【移住理由その②】高度デジタル時代だからこそアナログ情報のインプットを大切にする

こんにちは、Kokonoeの水谷翔です。

移住理由をあまりにも大勢の方に聞かれるので、昨日まとめ記事を書きました。

►【移住理由その①】成長アップデートを求めた場所:長野戸隠

ポイントの3つはツイートもしました。

ここまで真面目にシツコク書いているのは

1.本気で移住を考え新しいチャレンジを目指している方に体験談をお伝えしお役に立ちたい(民泊宿泊のお客さんにもよく聞かれます)

2.移住の決断にはリスクが伴うため、心理的・感情的な変化もお伝えした方が有益と思われる

3.戸隠が修験道の聖地である場所的特性上、スピリチュアル的な返事を期待されている方が一定数以上おられ、「長野や戸隠は自然が豊かで素敵なところです」という程度の言葉ではどうも納得されない表情をされる

などの点からです(笑)。

今回の記事は上記のポイント①を深堀りしていきます。


デジタル加速時代にアナログ情報のインプットをしようと思った心理変化の源流


皆さん、暗黙知という言葉を知っていますか?

ハンガリー出身の科学者・哲学者・社会学者でマイケル・ポランニーという人物が提唱しました。

マイケル・ポランニーの親族は『大転換』で有名な経済学者カール・ポランニーやノーベル化学賞(1986年)を受賞したジョン・ポランニーがいます。

暗黙知とは、簡単に言えば実務経験に基づく技能知識です。

さらにわかりやすい日本語で表現するなら、カンとコツと表現できると思います。

一時期、ナレッジマネジメントという言葉が流行りました。

企業競争力向上のためには知識の有効活用による相乗効果が不可欠とされていますが、個々がカンとコツから得て脳内に蓄積している情報をいかに体系化するかという試みです。

この辺りはじっくり学ぶとかなり面白いです。

知識の体系化に馴染みの無い人には目から鱗の情報かもしれません^^

ものづくり企業で特に重要視されてきた方法論とも言われています。

ところで、私は大学学部生時代はほとんど授業に出席せず、勉強に意義が全く見い出せない時期があり、

・人間とは何か?
・生きる目的はあるのか?
・人は死んだらどうなるのか?
・宇宙に意思はあるのか?
・シンクロニシティはなぜ発生するのか?
・類はなぜ友を呼ぶのか?なぜ友は遠方から来るのか?
・魂はあるのか?あるとしたらなぜあると言えるのか?ないとしたらなぜないと言えるのか?
・人類はなぜ宗教を生み出したのか?なくなるとどうなるのか?
・歴史上仙人のようなアウトサイダー系の人間がなぜもてはやされるのか?彼らは何にどう到達しているのか?
・ブッダ、マホメット、キリスト、孔子等の偉人の一体どこがどうすごいのか?なぜすごいと言えるのか?
・インスピレーションはどこからどのようになぜ発生するのか?
・人間の脳は3%しか使われていないと言われるが本当だろうか?何かの比喩なのか?100%使うことなんて可能なのか?
・たけしの「奇跡体験!アンビリバボー」に登場する超能力的かつ超天才的な人は普通の人と何がどう違うのか?

といった実益にすぐに結びつくとは考え難い禅問答のような問いかけを日々悶々としており、単位を落としまくっていた雑魚学生でした(苦笑)。

世の中には小さい時からコツコツ努力してきた優秀な人が大勢いる中、そんな思想的背骨もしっかりしてないヤツが知識のことを偉そうに話すなよって感じですよね(笑)。

とは言え、何もしていなかった訳ではなく、正体不明の内面から突き上げてくる知的好奇心は留まることを知らず、友人や仲間と過ごす時間と学生団体活動以外は図書館かカフェに入り浸っていました。

哲学、自叙伝、冒険、小説、古代史、世界史、宗教、経営、社会学、自己啓発系の本を長い日で1日15時間くらい読んでいました。

「世界の奥の奥を動かしているとらえどころのない不可思議巧妙なモノの正体が知りたい,,,,」

そんな幻像がいつしか付きまとって来たのです。

この時期に一番本を読みました。枕元には毎晩本が散乱していました。

身体と脳が疲れている時に読書をすると回復していくという謎の現象も発生しました(笑)。

そして、何か行動して成果を出したいよね!と熱意に満ちた仲間には恵まれていました。

今振り返っても最高に面白い面々です。

・在学中にベンチャー起業を作った人
・高校中退して保険業界に入って20歳過ぎでムチャクチャ高い成果を出している人
・1000人規模のイベントを立ち上げた人
・町中を巻き込む祭りを作ってしまった人
・海外バックパッカーで秘境に行きまくっていた人
・フリーランスで仕事受注に成功していた人
・志の体現のために政治家になった人
・ホストで上位になった人
・キャバクラで上位になった人
・帰国子女でTOEIC900くらい勉強せずに余裕だった人

そして、不思議な巡り合わせで徹底指導くださる社会人師匠とのご縁もあり、めちゃくちゃ迷ってモラトリアムしていましたが、刺激と学びの大きな人間関係の中で時間を過ごしていました。

友人(相当ぶっ飛んだ凄いヤツ)の勧めで般若心経の筆写を一緒にやったり、禊ぎにコアなメンバーと行ったりもしました(笑)。

もちろん座禅も内観もやりました。

致知出版社の購読もし、人間学のベストセラーとされているものの何冊かは読みました。

今振り返れば、迷いと悩みは財産です。

迷いと悩みは、静かにゆっくりとではありますが内面エネルギーを養い育て、やがて爆発的とも言える火事場の馬鹿力発現のための基礎になるのですから。

そして、熱意を持って議論し、お互いに刺激し合えた仲間も人生における最高の財産に違いありません。

あの頃から10数年、現在社会的にかなり凄くなっている人も何人かいます^^

そんな仲間達と当時語り合ったテーマの一つが「暗黙知」でした。

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熱心な意見交換をいつも飲みながらしていた覚えがあります。

それぞれのフィールドでオリジナリティを発揮しようと奮闘しているメンバーが多かったです。

諸先輩から学びを得て、独自の問いかけを自分なりに発見し、個人成長のために絶えざる問いかけをしていました。

暗黙知は日本ではカリフォルニア大学バークレー校で学位を取られた経営学者の野中郁次郎先生が言及されています。

私の学部生時代は名古屋の南山大学というミッション系の大学で過ごしましたが、野中先生も一時期同大学で研究されていたとのことです。

暗黙知を学術的に体系化された書籍も出ていますので、興味がある方は手に取ってみてください^^

ポランニーの方が哲学色が強いと思います。

マイケル・ポランニー『暗黙知の次元』

野中郁次郎他『知識創造企業』

もう一つ忘れられない書籍があります。

現在もなお影響を受けています。

エッカーマン『ゲーテとの対話』です。

本書の中で、エッカーマンが最上の学びのためにどうすれば良いか?をゲーテに尋ねます。

ゲーテは「自然を師にする他ない」という発言をします(何ページか忘れましたが)。

迷いのスパイラルに入りまくっていた私はゲーテのこの発言に光明を得る感動を当時受けた覚えがあります。

単純明快な回答なのですが、かつての自分は救われた感がハンパなかったです。

ヘルマン・ヘッセの『シッダールタ』『知と愛』『東方巡礼』にどっぷり浸かった後、ゲーテに興味が湧き、ファウストは初読では挫折してしまいましたが(その数年後になんとか読了)、エッカーマンとの対話は脳のスポンジが水を吸収するようにスイスイ入っていった記憶があります。

ヘッセの中でも『シッダールタ』。苦悶を重ねながら描かれる人間成長の軌跡。ヘッセの傑作の一つです。高橋健二先生の訳も好きです。

終盤に川の流れから時間を超越する術を学び、真理に到達する描写は鳥肌と涙モノ。最後に旧友ゴーヴィンダと再会し、人生で縁を持った全ての人間の姿が超時空間に現れ、悟りを得ていきます。当時、文章に赤線を塗りたくりました。

他にもまだまだありますが、心理醸成ベースの一つとして当時の経験より自然界に興味関心が向いていくプロセスを学部生時代の時間の過ごし方と書籍紹介と共に書かせていただきました。



里山で体験ベースの暗黙知習得は高度情報化社会で知識競争力要因になり得るか?


戸隠移住時の感情としてはこんな感じです。肌感覚から仮説を立てました。

「里山に伝承されている農と食の知恵は、自然条件厳しい中で生きているタフな人達が紡いできた暗黙知の結晶の宝庫に違いない。しかもそれらは、おそらく十分に体系化されるに至っておらず、書籍やネットコンテンツで習得することはまず不可能であると考えられる。理由は簡単で里山文化形成を担ってきた年齢層の方々のインターネット普及率は一般的に低いと言われている。ということは情報発信不可知領域。手と足を細やかに動かして生きた知恵を得よう。わが身の体験こそがモノを言うはず。だったら飛び込んでみよう。打開策は必ずあるはずだ。自然から得る知恵を体現している師を見つけよう。」

デジタル化による高度情報化社会の急速な加速を感じる中、リスクを考えだしたら幾らでも出てきました。

成功確率の方が遥かに低いと思いました。

何人にも「正気か?」と言われました。

でも、仲の良い10年来の友人・先輩達は「お前らしいアプローチ。定期報告して欲しい」と言ってくれました。

その言葉に励まされました。

そして心の判断に従わなければ、後悔が後を引くだろうという内面の声も聞こえてきました。

信じきることにしました。

急がば回れで、高度情報化社会がカバーし難い領域の伝承の知恵を数年かけてじっくり習得することが、やがて強みに転じ、自分の周りの方々に刺激を与えハッピーにしていくきっかけを発見できるはずだ、と。

移住後、3年半の間にモーレツに地域の方々に教えを請い、生きた知恵の習得に励みました。

戦後物資の乏しい時期に開墾を人間の手だけでやったという先人の目の奥に宿る桁違いの情熱にモチベーションを高められて約5,000㎡の耕作放棄地を再生方法はよくわからない中でほぼ自力でトライしたり、巨大な石を土中から掘り起こしたり、数えきれない程の量の砂利をすくい上げて水路掃除をしたり、山に入って野生のカンの発現に期待して山菜を取りに行ったり、発酵食や漬物の仕込み方や伝統農法を指導いただき身に付けようと努力しました。

今感じるのは、幼少期から里山で自然と共に生き、知恵と技法を深めてきた山の賢者達には、カン・コツ・体力・馬力という点で、まだまだ全然追い付かないということです。

でも、圧倒的な体験ベースの学びがあったことには間違いありません。

何となく動物的直感のようなものも養われた気がします。

100万円の研修でもここまでの学びはないと思います。

1000万円研修に投資しても得ることが出来ないかもしれません。

なぜならそれらの知恵は数十年前までは死活問題が常に差し迫る中、生きるためにしなければいけないことを自分達の頭で考えて答えを出す実学がベースとなっているため高い緊張感に貫かれているからです。

大半が暗黙知に属し、わずかに書籍になっているものは生気を消失した2次的、3次的な情報のみです。

里山は知恵の宝庫なんです。

見向きをする人は非常に少ないですが、現代の特にネット系の学習プラットフォームでは得ることができない暗黙知資産が今なお大量に眠っています。

しかし、このホンモノの知恵を教えてくれる人はあと10年くらいでガクンと減る気がします。

戦前戦中に生まれた燃える闘魂を持つ世代が残念ながら代変わりしてしまいます。

だからこそ体験ベースの学習資産価値が高まっていくはずです。

師達から得た学びを次の世代につないでいく必要があります。

時間と空間をこえて生きた知恵を紡ぐ奇跡を起こすことは可能でしょうか?

それには、現代ではやはりテクノロジーの力を活用し価値創出を目的としたアウトプットが要になってくるはずです。

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100%シームレスな体験知のネット情報反映はまず不可能でしょう。

でも、暗黙体験知が深まった状態で発信することで、情報の質は高まると考えます。

記憶が新しいうちに、現代風にアレンジをして有益と思っていただける情報発信を心がけます。

大学院で学びを深めてきたゲノム、マイクロバイオーム等の知識のコラボレーションを意識し、もっと面白い切り口と視点は無いかを常に考えています。

自分自身ワクワクしています。

この記事では細かく書きませんが、現代は心疾患・精神疾患・血管疾患から身体不調、未来に希望を持てない若年層の増加、経済的格差の拡大等、キリがないほどの社会問題を抱えています。

社会問題を視野に入れ、なるべく具体的アクションが可能で楽しくてためになる情報発信を目標にしています。

今回は問題提起の源流を書かせていただきました。

次の記事は里山で学び、刺激を受け、習得した具体的内容にしたいと考えています。

ここでお知らせです。

とは言うものの、「さすがにネットには書けないでしょ」というもっとリアルな話を直接聞きたいという方がいらっしゃいましたら、農家民泊に是非お越しください^^

お酒を交わしながら、ゆっくりじっくり意見交換しましょう!

豊かな未来を生み出していくために温故知新アクションを一緒に出来れば最高です^^

►農家民泊ページ(紹介制と記載していますが、ブログ読者の方でしたらお気軽に日程などお問合せください)

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冬の戸隠連峰。毎年エネルギーに圧倒されます。Kokonoeの裏から直に見ることができます!感動しますよ^^

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THE KOKONOE代表 水谷 翔

THE KOKONOE代表水谷 翔

医工学修士。信州大学大学院総合理工学研究科卒業。THE KOKONOEの経営と並行して修士課程に在籍し、先端生命科学の研鑽に励み学位を取得。植物優勢生育の条件を土壌微生物の比較ゲノム解析からアプローチし、学術と現場の両輪から探究。土づくりアドバイザー。ゴングパフォーマー。Sound Luxury 代表セラピスト。2021年より医療福祉専門学校にて鍼灸師の国家資格取得に向け研鑽に励む。

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